競争が激しいときは、まず自分の上限をよく考えて書き留める
競争のある状況で決断するときは、時間が短く、情報が不完全で、しかも感情が高ぶっています。この3つの条件が重なると、人は普段とは違う判断をします。
頭の中の上限は動く
心の中で「だいたいこの数字まで」と思っているだけなら、その数字は肝心な場面でほぼ確実に上へ動きます。1回ごとの上乗せはとても小さく見え、「この家を失う」ことに比べれば、その小さな上乗せは割に合うように思えるからです。
問題は、この理屈が毎回成り立つので、際限なく繰り返せてしまうことです。だからこそ上限は、事前に、冷静なときに決め、あとから自分で見られる場所に書いておく必要があります。
上限は一つの数字だけではない
総額を一つ書くだけでは足りません。オファーの中身は価格だけではないからです。きちんとした上限には、いくつかの面が含まれている必要があります。
- 確認できる相手
- 価格の上限
- 支払ってもよい手付金の上限
- 放棄しない条件条項はどれか
- 受け入れられる最も遅い引き渡し日
- 自分で負担してもよい修理金額の上限
この数字をどう決めるか
この数字は、根拠を持って決めることができます。
使える根拠には次のものがあります。貸し手に確認した無理のない月々の支払額、手元で実際に動かせる現金(ほかに必ず残しておくべきお金を差し引いたもの)、そしてほかの選択肢と比べたこの家への評価です。これらを計算しておけば、上限が感覚だけの数字になることはありません。
書き留めて、口に出して伝える
スマートフォンのメモか紙に書き、日付もはっきり入れておきます。2人で一緒に買う場合は、2人とも同意し、2人とも見られるようにします。
当サイトには、2人で一緒に買うのに希望リストが違うとき、まずどれが好みでどれが条件なのかを分けることについての別の記事があります。上限は条件のほうに属し、条件のほうには誰が決めたのかをはっきり書いておく必要があります。2人で一緒に決めたものと、1人が決めてもう1人が黙って認めたものとでは、その後の数週間のプレッシャーの中で、働き方がまったく違ってきます。
この数字は不動産エージェントにも伝えてください。手の内をさらすことではありません。エージェントがあなたのために働くには、境界がどこにあるかを知っている必要がありますし、現場で声をかけてくれるのもその人です。
超えそうなときは、考え直すことを自分に許す
上限は変えてはいけないものではありませんが、変え方にはルールが必要です。その場を離れる、しばらく時間を置く、当初の根拠をもう一度計算し直す。計算し直した結果、もっと高い数字でも確かに負担できるのであれば、変えてかまいません。
受け入れてはいけないのは、その場で、数分のうちに、相手も金額を上げたからという理由で引き上げることです。それは再評価ではなく、受け身の反応です。当サイトには、ほかにもオファーがあるので今日中に最終版を出してほしいと言われたとき、まず手続きを確認してから数字の話をすることについての別の記事があります。そうした場面こそ、この一線が最も崩れやすいときです。当サイトには、承認された融資枠は貸し手のリスク計算であり、予算は自分で計算することについての別の記事があります。
この記事の範囲
この記事で扱うのは、事前に設定して記録する方法です。金額、割合、オファー戦略に関する助言は一切提供せず、住宅価格や市場の動向についていかなる判断も予測も行わず、財務上の助言でもありません。実際の判断は、買主側の不動産エージェントと資格のある専門家に相談してください。
ポイント
頭の中の上限は競争の中で動きますが、書き留めた上限は動きません。上限は価格だけではなく、どの条項なら放棄してもよいかも含みます。書き留めて、一緒に買う人にも口に出して伝えます。超えそうなときは考え直すことを自分に許しますが、きちんと考え直すのであって、その場で上乗せするのではありません。